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つれづれなるままに、つらつらと。
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というか、フェネキアさんにときめいたので、こっそりSS。
ツンデレ要員かと思えば、意外に頭が切れるっぽい!そして侯爵!
情報が出きってないうちに投下すると、また矛盾がでるかも…というのは百も承知なんですが。

あと、マーモンの口調は堅めにしているんですが、エドガー並みに吠え出したらどうしようと思ってる。

 目映い黄金色が、無骨な爪に当たって、チン、と音を立てた。
 手のひらの中で弄ぶそれは、チェスの駒を模した形状をしている。
 皮肉なものだ。
 世界の主を力無き者へと貶めたこの秘宝が、遊戯の道具であるとしたら。
 それは一体、誰にとっての。

「マーモン」

 畏れもせずに歩み寄る気配に顔を上げれば、厳しい色を湛えた碧眼とかち合った。
 背に伸びる火の色の羽は不穏にゆらゆらとはためき、眉間に刻まれた深い皺。
 言葉を交わすまでもなく、彼女の不機嫌は容易に理解できる。

「…いい度胸だな、フェネキア。己の主を呼び捨てるか」
「心にも無い賛辞が聞きたいなら他を当たって頂戴。そんなくだらない話をしにきたわけではないわ」
「くだらない、ときたか」
「そうとしか言いようがないわ。いつまで、かつての王に固執する気でいるの」

 かつての、に力を込めて。
 彼女は切り捨てる。
 いくら獣魔王の気質が実直であるとはいえ、そこに含まれた苛立ちを理解できないほど愚鈍でもない。
 は、と誰にとも知れぬ嘲笑が、呼気になって漏れた。

「貴様の王でもあったろうに、随分と容赦の無いことだ」

 嘲りをそれと受け取っただろうに、微動だにせず。
 違うわね、とフェネキアは首を振る。

「私の王は、獣魔王ただひとりよ」
「では、その王に意見するのか?『光翼炎舞』。『グリード』の侯爵よ」
「必要とあればね。それが、部下の務めと心得ているの」
「相変わらず、気性の激しい奴だ」

 一歩も引かぬその気の強さは、主に対して誠実であればこそだ。
 彼女が幹部として揺るぎない地位を築いているのは、実力はもちろんとして、その噓のない気質が獣魔王にとって好ましいものであるから。彼女に告げれば、実力のみを基準にしろとまた詰られそうな事実ではあるが。
 くつくつと喉を鳴らして笑うマーモンを睨んで、碧眼が鋭さを増した。

「応えて、マーモン。アーク・マティウスを、どうするつもり?」
「案ずるまでもないことだ」

 即答。
 マーモンは唸りにも似た声で笑った。
 玉座の間に低く響くそれは、地響きのように空気に浸透していく。
 昏く、昏く。
 ぞくり、と背を這った悪寒を自覚して、フェネキアは顔をしかめる。

「この獣魔王が、堕ちた大魔王に酌量の余地がある筈もないだろう」



 
 獣魔王の玉座を辞して、フェネキアは深くため息を吐いた。
 嗚呼。

「くだらない時間を使ってしまったわ」

 少なくとも、成果のないものを、有意義な時間だったとは呼べまい。
 王への謁見は、彼女の危惧を確信させるに至っただけで、王の意見を変えるには至らなかった。

「アンタにとって、『あれ』はまだ、『大魔王』なのね、我らが王」

 人間ごときに寝首を掻かれようが。
 堕ちようが、力を奪われようが。
 彼にとって『アーク』は、未だただの『アーク・マティウス』にはなりえない。
 部下の忠言ごときで、それが覆されることは無い。

「…腹の立つこと」

 それならばいっそ、出会って失望を味わえばいい。
 大魔王はもはやどこにも存在しないのだと。
 彼の抱く願いは、打ち砕かれるのが筋なのだと。

「思い知れば、いいのだわ」

 彼の臣下として、願うはただひとつ。
 そのかぼそくも愚かな期待が、獣魔王の致命傷とならないように、と。
 再度のため息だけを、その場に残し。
 火の色の翼をはためかせ、フェネキアは軽やかに地を蹴った。

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